経済社会学#7

税制と経済社会

 

税制、すなわち誰からどれだけ税金をとるのかというのは、国家最も重要な権力の発揮であり、税制は社会のあり方を根本から変えてしまうほどの力を持つ。

 

T.たばこ税の仕組み

《グラフ》たばこ税の仕組み

《グラフ》たばこ税額の推移

(出所)JTホームページ

U.たばこ増税論

平成9年の消費税増税、平成10年のたばこ特別税創設、平成15年および平成18年のたばこ税増税

 

1.日本財団笹川陽平会長が08年3月からブログ等で発信している主張

1箱約300円という日本のたばこの値段は安すぎる。1箱千円にすれば9兆5千億円の税収増が見込め、仮に消費量が3分の1になっても3兆円超の税収増が見込める。社会保障の財源として、消費税より先に議論すべきだ。千円になれば多くの人が喫煙をやめるので、健康被害が減って国民医療費を抑えられる。未成年の喫煙抑制や防火にも役立つ。

 

2.日本学術会議 脱たばこ社会に向けた国への提言

@たばこの直接・間接的健康障害の教育・啓発を進める

A喫煙率削減の数値目標設定

Bバー・レストランを含む職場・公共の場の喫煙を法的に禁止

C未成年者喫煙防止法の順守

D自販機の設置禁止とたばこ箱警告文を簡潔で目立つものにする

E税の大幅引き上げ

Fたばこに関する規制の強化

 

 

税収

たばこ消費量

喫煙者数

300円引き上げ

4.29兆円

1910億本

3310万人

200円引き上げ

3.69兆円

2080億本

3380万人

100円引き上げ

3.02兆円

2320億本

3470万人

現行

2.24兆円

2700億本

3600万人

 

3.小泉首相の200512月の発言

 「諸外国ではたばこは500円、600円する。日本でも禁煙が浸透してきているし、500円くらいにしたらいい」

 


4.製薬会社ファイザーの調査

2008年4月、喫煙者9400人へのアンケートで「価格がどれぐらいになれば禁煙するか」と尋ねたところ、「500円」で54%、「千円」で79%の人が禁煙すると答えた。

 

税収

たばこ消費量

喫煙者数

700円引き上げ

2.45兆円

567億本

756万人

200円引き上げ

2.27兆円

1242億本

1656万人

現行

2.24兆円

2700億本

3600万人

※効果は森永試算

 

5.医療経済研究機構の推計 2002

「喫煙による経済的損失の推計結果

 

喫煙者の医療費

12900億円

間接喫煙者の医療費

146億円

逸失される労働力の損失

58000億円

火災による損失

2200億円

73246億円

 

 

U.増税論への反論

斎藤貴男さん

「健康を害して高い医療費がかかるから高い税金を払えというのは、後期高齢者医療制度と同じ論法。世の中はお互い様なのに人の生き方や好みを監視し排除するのはおかしい」。

橋内章医師「禁煙推進で医療費が抑制できると言うが、果たしてそうか。仮にたばこが有害ならば、やめると寿命は延び、高齢者医療費も増える。安易な主張だ」

 

※年金給付40兆円 5年短縮で13兆円

 65歳以上の医療費17兆円 5年短縮で6兆円

 

中日新聞に掲載されたコラムに抗議が相次いでいる。タクシーの全面禁煙に疑問を投げかけるコラムだが、「禁煙運動を始めたのはヒトラー」などの文言が読者に反発を招いたのか、全国から60件ほどの抗議が寄せられ、日本禁煙学会からも抗議文が寄せられた。しかしその一方で、意外なことにこのコラムを肯定的に捉える「激励」のメッセージも寄せられ始めたというのだ。

   波紋を呼んでいるのは、2007429日に中日新聞に掲載された「タクシー禁煙の憂うつ」と題されたコラム。同社常務・編集担当の小出宣昭氏が執筆した。愛煙家である小出氏が名古屋地区で始まったタクシーの全面禁煙について疑問を投げかけるもので、喫煙者を少数民族「スー族(吸う族)」と禁煙者を多数民族「スワン族(吸わぬ族)」と呼びながら、

「いやはや。少数民族は多数民族の決定に従う術はないが、その決め方にはいささかの薄っぺらさを感じるがゆえに、スー族としての反論を書きとどめる」 として、全面禁煙に疑問を投げかける。

   小出氏は、コラムの中で「タクシーは公共交通機関といっても、あくまで個別選択的な乗り物である。車内でのたばこは運転手さんや同乗者の同意を得れば不特定多数の人々に迷惑をかけることはありえない。まさに私的空間なのだ」 と主張。「全面禁煙という一律主義に、スー族は本能的に危険を感じる」などとしている。さらには、米国の学者・ロバート・N・プロクターの『健康帝国ナチス』を持ち出して、「世界で初めて国家的禁煙運動を始めたのはヒトラーである」として、同時代の独裁者ムッソリーニが禁煙主義で、ルーズベルト、チャーチル、マッカーサーは喫煙者だったと述べている。最後に小出氏は、「禁煙は下手をするとナチスのように他者の存在を認めない原理主義に陥ってしまう。スー族はいま、それ憂いているのだ」

とコラムを締めくくっている。

  中日新聞社によると、59日までに約40通ほどの抗議などの問い合わせが寄せられたという。また、「ナチスといった言葉に不快感を感じた方が多かったようだ」としており、禁煙と「独裁者」を関連付けたことについて、反発を覚えた人も多いようだ。

   07510日付の読売新聞によれば、小出氏はこうした批判を受けて、

「禁煙者と喫煙者の共存のために多様な選択肢が必要だということを書いたつもりだが、配慮を欠いた部分もあった。文章を訂正する必要はないと考えているが、今後、反省すべき点は反省したい」

JCASTニュース 2007/5/11