川上弘美『センセイの鞄』
駅前の一杯飲み屋で、たまたま隣り合わせたのが、高校時代の先生だった。
以来、ツキコさんとセンセイは、たびたび一緒に酒をたしなむようになる。
互いに少しだけ自分をあずけて過ごす、ふたりだけのゆったりとした日々。
こんな関係が、本当にあったらいいのにと、うらやましく思う。
しかしまた、本当にあったら、たいへんかもしれないとも思う。
人が、人として、なにか物理的なところを超えたところで、
通じ合っているという感覚。
通じ合うというより、感じ合うという方が近いか。
最終形として、「正式なおつきあい」をすることになっても、
男と女を意識するようになっても、
やはりそういったものを超えたところに、
二人の意識があるのだろうと思うのだ。
(04.10.14 日記より)