梨木香歩『りかさん』
リカちゃん人形が欲しいと頼んだようこのもとに、おばあちゃんから届いたのは市松人形の「りかさん」だった。
はじめはがっかりしたようこだったが、すぐんりかさんのことが大好きになった。
なぜなら、りかさんは、おしゃべりする不思議な人形だったのだ。
りかさんを介して、ようこは古い人形たちの心に触れる。
『からくりからくさ』の蓉子の子供の頃のお話。
手法は児童文学なんだけど、深い。
軽いんだけれど、実は重い。
日常と非日常が滲むように溶けあう、不思議な世界。
美しい文章、巧みな仕掛け。
やっぱり、たまらなく好きだ、梨木さんの作品。
併録の「ミケルの庭」は書き下ろしの短編。
こっちは強烈。
一瞬たりとも気の抜けない感じ。胸がギリギリ苦しくなった。
なんというか、「業」というものを考えさせられた。
(03.07.12 日記より)
なんか、どうしても『からくりからくさ』の印象が強くて、
「ようこ」はおっとりしている気がしてしまうけど、
意外と行動的。
しかし、その後のようこ=蓉子の土台が、やはり見えている。
おっとりと、なんでもやさしく包み込めるおとなになるには、
痛かったり悲しかったり、怒りだったり、たくさんの鋭い感情に接して、
受け止めていかなきゃいけなかったのだろう。
「ミケルの庭」で、それがはっきりわかった気がした。
りかさんも、よくしゃべるし、ただしゃべるだけでなく、
冗談言ったり、愚痴こぼしたり、なかなかに人間味が豊かだ。
そういえば、そうだったんだなあ、と思う。
おばあちゃんのことを「麻子さん」というところなど、
まだ艶やかな「女学生」のようだ。
(05.03.05 日記より)