梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』

考古学の研究のため、トルコへと渡った村田。
下宿の主人はイギリス夫人。同宿人は全員異邦人。
宗教も信念も異なるが、そこには確かに、友情が育まれていた。
『家守奇譚』姉妹編。


 

友よ。
国に、宗教に、さまざまに人は属するといえども、
をれらを乗り越え、取り払い、
心通じ合う、友よ。

主人公「村田」の想いは、
そのまま梨木さんの想いに通じているのだろう、きっと。
下宿の女主人は、まぎれもなくウェスト夫人であり、
オットーやディミトリス、ムハンマドは、
梨木さんが英国で共に過ごしていた下宿仲間。

梨木さん独特の、不可思議な雰囲気を漂わせながら、
静かに、けれど陽気に始まる物語。
しかし、宗教や歴史、そして戦争と、
さまざまな要素が絡まり、次第に暗い影を落としていく。
あくまで、静かに。
しかし、それでもこれは村田の青春の物語であり、
友情という輝きへの賛歌なのだ。

(04.05.10 日記より)

 

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