上橋菜穂子 守り人シリーズ
*** 精霊の守人 ***
骨太ファンタジー。
バルサのスーパーマンぶりが気持ちいい。
(06.07.26 日記より)
*** 『闇の守り人』 ***
*** 『夢の守り人』 ***
用心棒バルサの活躍は続く。
ちゃんと1作ずつ完結しているのに、
前作のキャラをうまく絡めて、無理なく展開しているのが心地よい。
適度にご都合主義で、適度にスーパーマンぶりを発揮していて、王道なとこころも心地よいかと。
(06.12.03 日記より)
*** 『虚空の旅人』 ***
シリーズの番外編、皇子チャグムのお話。
チャグムがちょっと有能・優秀すぎるかなーとは思う。
しかし、立場と本音にゆれる心が痛々しい。
彼は、今は押し殺している本音とうまく折り合いをつけて、新しいタイプの為政者となりえるのか。
賢いけれど、バルサのように万能ではないところに、別の面白みがある。
(06.12.03 日記より)
*** 『神の守り人』来訪編/帰還編 ***
シリーズ初の2巻もの。
そのボリュームに比例してか、移動距離が長い。
そしていつも以上にバルサが傷を負う。
というか、ほとんど無傷の期間がない。
派手なアクションの連発で、いかにもシリーズの主人公!というところだが、
実はかなり脇役っぽいポジションだったのが面白かった。
かといって真の主役アスラも全然ヒロインらしからず、
ほとんど受身(移動に関しては荷物扱い)だったのも。
本人の意思はまったく関係なく、
一方からは救世主としてあがめられ、一方からは悪魔として暗殺されそうになる、
運命に巻き込まれていくさまが、そこに表れている。
今まで、主要人物に関してはハッピーエンドな終わり方がパターンだったが、
初めて「ハッピー」とは言いがたい結末を迎えた者が出た。
(もっとも、まだ“過程”であって“結末”はこれから、かもしれないが)
テーマも重い。
人はけっして平等ではないということ。
その不平等のもとにある信仰、富と貧困、差別、利害……
人は等しく尊いのだといいながら、
生まれや住む場所によって、貧富の差や身分の差ができ、
それに縛られていくという矛盾。
ゆえに人々の心の底に沈殿していく、恨みと怒りと悲しみと、そして殺意。
何百年も前の「伝説」は、解釈によって「正義」も違う。
もはや絶望的に回復しようもないと思われる状況に、
それでもなんとか活路を見出したいともがく人々。
実際、物語中でもなにも解決はできていないが、
せめて己の心だけは尊くあろうとする勇気が一筋の希望の光、といったところ。
その勇気を持つことは、ひどく苦しく、孤独な戦いのようで、
実は多くの人に支えられてかなえられるのだ、ということ。
それを示したのが幼いアスラとチキサなだけに、最後が切ない。
(06.12.13 日記より)