ウイリアム・ゴールディング『蠅の王』


 

無人島に漂着するたくさんの子供たちの物語。
というと、まず『十五少年漂流記』を思い浮かべるが、こっちはかなり厳しい。
(まともに『十五少年〜』を読んだことがないので、はっきり違うとは言い切れないが)

無人島という極限状態。
そこで少年たちはふたりのリーダーを得る。
表のリーダー「ラーフ」と、裏のリーダー「ジャック」。
これはそのまま、
烽火(理性的に救出を求める)VS豚狩り(野生化してその地に生きる)
という構図になっていく。
誰もが内面に持っている「負」の部分のことを、
「獣」と呼んでごまかし、けれど恐怖に飲み込まれていく少年たち。
ゆがんでいく関係。
そして、続く悲劇。


理性派の敗北。イギリスの小説らしく、ラーフたちはたびたび、
「ここに大人がいたらなあ、理性的に解決するだろうに」
とぼやき、最後に救出にきた大人たちは、
「きみもイギリスの子供ならば、きちんとしなくちゃ」
というようなことをいう(うろ覚え)。

島での破滅的な出来事は、異様なようでいて、
実はすべて、この人間社会の縮図なのだ。
だから、この何度も出てくる「大人」への羨望は、
痛烈なアイロニーになっていて、
思わず苦笑してしまうほど、やるせない気持ちになる。

(05.01.21 日記より)

 

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