梨木香歩『からくりからくさ』
蓉子、与希子、紀久、マーガレット、そして市松人形のりかさん。
古い家で、糸を紡ぎ、染め、機を織り、庭に生える草を食す、若い女性達のどこかおままごとめいた共同生活。
人と人、時と時、場所と場所、心と心の複雑な絡み合いは、まるで唐草模様のよう。
しっとりと、しかし力強く、生命の連なりと絆を描く。
・主人公はだれ?→蓉子かと思いきや、紀久さんのようであり、与希子さんのようであり。
わたしのなかでは、紀久さん。
確かに、ストーリーは紀久さんに拠っているところが多い気がする。重大なセリフ、気づきも多い気がする。
・視線→第三者的? と思ったら、蓉子? いやいや、紀久さん? 与希子? と、入り乱れる。
この個人個人なのに、溶けあっているような所が、奇妙で、かつ心地よい。
・マーガレット→実は、上記の視線の溶け合いに当てはまらない。女性陣の中で、唯一の他人的存在。
他の三人は、りかさんを受け入れ、100%ではないにしても、理解している。
マーガレットには理解できない。
受け入れることも出来ないけど、そこにその人形が存在していることは、認める。対物的。
けれど実は、マーガレットはりかさんの対極にいるけれども(見せかけているけれども)、りかさんと近しい存在だと思う。
同じ匂いのする存在。何らかの別次元を持っている存在。
だから最後に、りかさんを感じ取ったのか?
(初読時メモより)
今回は、あんまり真面目に読み込まず、
慣れた話だからさっさかさーっとなぞり読みみたいにしているのだけど、
半ばあたりまで進んだら、妙に心が落ち着かない。
なんだろう……
なんかこう、淋しいような、切ないような。
……たぶん、これは嫉妬なんじゃないだろうか。
祖母の家と、そこに住む四人の女性達と、りかさんとの世界。
この目の前にある世界に、けっして生身は住めないのだと、
自分は入ることができないのだと、ひしひしと感じて、
嫉妬しているような気がする。
小説なんだから、当たり前なんだけどねえ。
(05.03.24 日記より)