小林章夫『イギリス貴族』

 

最近、イギリスに関係のある仕事をしていて、興味が向いたので読んでみた。
漠然としたイメージしかなかった貴族や王族、領主、メイドや執事などの実態が、いくらかつかめておもしろかった。

意外だったのが、金稼ぎや学力向上を求めることを軽蔑している、ということ。
露骨な金稼ぎは品位を落とす、というのはわかる。
でも、学力を求めてない、むしろバリバリ勉強するのは格好悪い、というのには驚いた。
貴族サマは、「もともと生活のために働かなくてもよい階級なので、伝統的に知育を軽視する傾向がある」ということらしい。
「ナニー」という独特の家庭教師兼保母とか、寄宿学校とか、イギリスは教育には厳しい印象があったので、どういうことかと思ったら、
「お勉強」よりも、しつけ、人格形成、体力作り、社交性、人脈などを身につけることを重視しているらしい。
なるほどなあ。

貴族が重んじるのは名誉や建前(こういうところは、日本も同じだ)。
領民のためにごちそうを用意したり、何かの修繕の費用を出したり、外国へ英語を教えに赴いたり、戦争の前線へ出たりする、「ノブレス・オブリージュ(身分に伴う義務)」という感覚。
ただ「エライんだぞ」とふんぞり返っているのではなく、相応の義務も果たそうというのはあっぱれ。
嫌なことはなんでも誰かに押しつけりゃいいと思っている輩とは、わけがちがう。
しかし、建前を重んじて、金稼ぎを軽蔑するがために、
今では相続税などの酷税で四苦八苦している貴族が多いという。
何とも皮肉なものだ。

日本でメイド喫茶やら執事喫茶やらが流行しているのを知ったら、彼ら、どう思うんだろうか。

(06.04.27 日記より)

 

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