いせひでこ「グレイ」シリーズ
『グレイがまっているから』
『気分はおすわりの日』
『グレイのしっぽ』
絵描き一家と、シベリアンハスキーのグレイの物語を綴ったエッセイとスケッチ。
むくむくと無邪気に大きくなる犬、翻弄される家族の微笑ましい姿を描いた1冊目。
てんかんやアレルギーに襲われ、苦しみの中ににも、笑いの絶えないあたたかな2冊目。
そして、生と死を全身全霊で受け止める3冊目。
悲しい結末だってことだけ知っていたので、ずっと躊躇していた本。
でも、夏に伊勢さんの原画展に行き、やっぱり読みたくなった。
『グレイがまっているから』
グレイという犬の話のはずなのに、伊勢さんの話みたい。
伊勢さんの人柄がよく伝わってくる。
たとえ妻であり、母であっても、ひとりの自由人でいる人。
『気分はおすわりの日』
グレイの発病。
冒頭からなので、構えてしまったが、意外とのんきに話は進む。
穏やかな日々。幸せな日々。
それでも、不安が、ところどころに顔を出す。
『グレイのしっぽ』
淡々と、事実を書き連ねていく。
「グレイよ、私はけして目をそらすまい」
伊勢さんの覚悟が、胸を締めつける。
グレイとともに、伊勢さんも行ってしまった。
「私は風景からはみ出すのがうまくなった」
この一文にドキリとする。
原画展で伊勢さんに感じた、
半分透けるようにしてこの世に生きている人、
まさにそれだったから。
(03.12.31 日記より)