尾崎翠「第七官界彷徨」など(ちくま文庫『尾崎翠集成・上』より)
詩人になりたい町子、ろくに練習をしない音大浪人生の三五郎、肥料研究学生の二郎、心理医者の一郎。
同じ下宿に暮らす四名の、それぞれの不可思議な恋愛模様。
うーんと、予想外だった。
もっとドロドロ陰気な話か、難解な話かと思っていたのだけど、
すこーんと軽かった。
登場人物がみんな変で、それぞれの論理でゆったり暴走している点では、
難解と言えば難解だけど。
昭和一桁の作品とは思えない。
現代にも充分通用する。
通用っていうか、よほど面白い。
意味不明と言えば、意味不明だが、おかしみがある。
そりゃ言葉の端々は古めかしいのだけど、かえってそれが新鮮でもある。
個人的注目は、実は「「第七官界彷徨」の構図その他」の方。
登場人物をみんな尋常ならざる者にしたのは、作者の意図であり、
そこに巧妙な仕掛けがなされていることや、
全体の運び、エピソードなどを、前もって図式化してから、
物語をつづり始めたことなどが書かれていて、
大変興味深い。
ま、たいがい誰でも物書きは構想メモくらいつくるのでしょうけど、
尾崎翠は、かなり緻密に作っていたようだ。
なるほど、なるほど。
ところで。
「だいななかんかいほうこう」って言いにくいよね。
それだけがどうも気になって。
(05.03.22 日記より)