ようやく原稿作成の説明なのだ

藤埼式・エッチングパーツ自作法

〜原稿編〜


◎原稿のつくりかた

 ここでは「原稿作成」についての注意点やコツに的を絞って解説していきたい。

 再びここで断っておくが、ソフトに関する事全て(チョイスから使い方の習得まで) は、これを見ている方々に一任します。

 人それぞれに自分にピッタリなソフトが有るだろうし、私の場合、ここで 書いた”Lillicad”しか使った事が無いし、書こうにも書きようが無い、と言うのが正直 な所だからである。Lillicad中心に話を進めてしまっても良いのだが、大体、フリーウェア と言うのはメジャーな存在では無く、市販のソフトの様な参考書も無い(有名な フリーウェアはこの限りでは無いが、それはほんの少数である)、またソフト特有の”クセ”も 有って(Lillicadはとくにクセが強い方)、残念ながら万人向きとは言えないからである。

◎ドロー系かペイント系か

 ここで言う”エッチング”は”フォトエッチング”。透明なフィルムに書いたこまかーーーい パターンを、感光剤を塗布した金属板に「焼き付けて」作成する。1/700の世界では、その こまかーーーいパターンは、パソコンで書いた…と言うより”描いた”方が手っ取り早い しキレイに出来上がるのはのは言うまでも無い。それにこまかーーーいパターンの手書きはちょっと… (爆笑)。そこで出てくる問題点。

 こまかーーーいパターンの作成には何を使えば良い?

 この疑問の答えには、大まかに分けて2つの回答が有る。

 ひとつ目は、”ペイント系”と呼ばれるグラフィックソフト。CGイラスト等の作成にも、 このタイプのものが広く使われている。Windows系OSのオマケの”Paint”が代表格。フリーウェア では”HyperPaint”、”Pixia”、”D-Pixed”、UNIX系の”GIMP”が有名。画像データは、 「ピクセル」と呼ばれる点で構成される。

 ふたつ目は、”ドロー系”グラフィックソフトとCADソフト。ドロー系は、やはり CGイラストなどの作成に用いるソフトで、CADソフトは設計業務に使うソフトである。全く 毛色の違うものを、何故ここでいっしょに取り上げたかと言うと、データの構成 がほとんど一緒なので、と言うのが答えになる。どちらも画像データを「ベクトル」 として保存しているのだ。違いと言えば、色データ(グラデーションとか)の有無 くらいなもの、だと思う。エッチング原稿作成には「面の塗りつぶし」が必須なので、 CG目的に作られているドロー系グラフィックソフトが適していると言える。
 因みに、私の使っているLillicadは”CADソフト”なのだが、面(線で囲まれた領域)に 色を付けられたり、グラデーションが使えたりする不思議な(笑)ソフトである。

 前の章でもチョコっと書いたが、ここで推奨する原稿作成 ソフトは、ドロー系(またはCAD)ソフトである。大スケールであるなら何を使っても、(斜め の線や曲線がキレイに印刷できさえすれば)大丈夫だと思うが、特に1/700スケールでは、ペイント 系での原稿作成は至難の業である。それは何故か!?

 理由は簡単。モノが小さいからである。

 ごく普通に考えて、1/700の原稿は、まず原寸の何倍かの大きさで描いて、それを原寸に 縮小して印刷する…、と言うパターンを使うと思う。大き目に描くのは、パーツ 原寸では細かいパターンまで描けないから。
 そこで問題になるのが、画像データの構成である。ペイント系は「ピクセルの塊」。 それを縮小すると、見た目には元の画像がそのままちっこくなった様に見えるが、実は、 それはソフトの方で「そういう風に見せている」だけにしか過ぎないのだ。大きくて単純な カタチならまだしも、例えば2倍の大きさで13号レーダーやSC-2レーダーの原稿を作って、それを 原寸に縮小したとすると、それだけでパターンが失われてしまうのだ

 翻って、ドロー系/CADソフトは、画像データを「ベクトル」で持っている。これは「画像データ を座標で持っている」とも言い換えられる。ようするに、図形のデータを頂点座標で持っていて、 ソフトのほうで頂点間を線で繋いで(そして線で囲った領域を塗りつぶして)グラフィックを作って いるのだ。この場合の拡大縮小は座標に対して行われるので、これだとそのままのカタチを 保ったまま拡大縮小できる。よって、パターンが失われる事が無いのだ。
 因みに、1/700でも、滑り止めパターンとかの、細かいけど単純なパターンのものは、ペイント 系でも大丈夫。

 単純な形状だったらデカく描かなくとも大丈夫だが、例えば、それに細かいトラス状パターン のあるパーツの場合、ペイント系ではトラス部分のデータは「それらしく並んだピクセル」にしか ならないが、ドロー/CAD系の場合はその部分も「ベクトル」となる。モニター上ではどちらも似た 様に見えるが、この違いは印刷時にハッキリと出てくる。

 ここでちらっと言っておくと、原稿データは白と黒の2色のみで構成され、中間色は全く 使われない。そして、印刷時は黒インクでのみ印刷する。どっちつかずの「色」が有って、 しかもそれが印刷されたりすると、それだけでパターンがガタガタになってしまい、露光から 先の作業は確実に失敗することになる(印刷されなかった場合も同じ)。

 以上が、私がドロー系/CADソフトを推奨する理由である。あとは各自でソフトをチョイスして 頂きたい。ペイント系について説明した事が良く分からない、と言う人は、お手持ちのペイント系 グラフィックソフトで色々と試してみられる事をお勧めしておく。

 サンプルとして、パターン縮小の比較例をWindows添付のPaintとLillicadで作成して みた。ここをクリック。(※PNG画像)

◎パターンの書き方

 いよいよ、最終的にエッチングパーツとなる「パターン」を描いて行くことになる。

 まず、いきなりパターンを描くよりも、まずは紙に描いて検討する事をお勧めする。どういう パーツ構成(組み立て方や分割など)にするか、ディティールはどこまで描き込むか、枠はどういう風に 取るか、充分に検討するに超した事はない。
 ディティールについては、各人のやりたいように書こう。因みに、私の場合は、パーツの寸法はキットの パーツ寸法と資料から割り出した寸法を突き合わせて検討し、描いている。専ら、キットパーツと同寸の パーツとなる事が多い。…まあ、こういうのは騒ぎ出したらキリが無いので…(笑)。
 「枠」というのは、エッチングパーツを保持する、プラキットのランナーみたいなもの。これが無いと、 エッチング時に持つ所が無くなるし、それにパーツがポロリと取れてしまう(そうなったら最後、広大?な エッチング液の海をサルヴェージする事になる(笑))。枠とパーツを繋ぐ「ゲート」も重要。パーツの 切り出しに都合の良い所に付けよう。太さは、私の場合は0.2〜0.3mmといった所である。もうちょっと太く ても良いかなあ…。

 あと、枠とパーツとの間隔だが、これはエッチング作業時に、重要な意味を持つ。結論から先に 言うと、広く取ると細いパーツが作り易く、狭いとその逆になる。これは「サイドエッチング」と 呼ばれるが、要するに不要部分が溶けると同時に、残したい部分の側面(金属が露出している) が侵食されていく、と言う事である。ディティール配置にも同様の事が言える。何故、広いと サイドエッチングの進みが早くなるのかは分からないが、これは是非覚えておこう。自在に利用出来る ようになったら、向かう所敵なし(笑)。また、間隔は(枠もディティールも)出来るだけ広く取るように 描くと、現像が楽になる。

 パーツのパターンを描いたら、そのパーツごとに保存しておいた方が便利。Lillicadには「パーツ 登録」と言うのが有って、私はそれを使って一つの「グループ」にまとめたパーツパターンを登録している。 それが出来ないのであれば、1パーツごとにファイルで保存しておき、原稿作成の都度、それを開いて カット&ペーストで貼り付けて…などと言った方法を編み出そう(な、なんて突き放した言い方(爆))。

 それから、エッチング原稿は、金属を残すパーツ部分は白く、金属を溶かす部分は黒くなる様に作る 事。洋白板に塗布された感光剤(レジスト膜と言う)は、光が当たった部分が硬化して一種の マスキングとなり、現像〜エッチングでそのマスク部分が残るしくみになっている。

 パーツ原稿はこのようになる。簡単なサンプルを用意したので、 参考までに。ここをクリック。(※PNG画像)

◎ただ印刷すりゃ良いってモンじゃ無い

 印刷は2部行なう。何故かって!?だって表と裏に焼き付けるんですもん。表用と裏用の印刷をすると 言う事である。但し、ただの2部印刷では無いところがクセモノ。2部の内、1部は普通に印刷するが、もう1部 は左右反転で印刷する。何故こんな面倒くさい事をするのか。それは焼き付け時の乱反射を防止するため である。

 原稿のインク面と洋白板の感光面が密着していない、言い換えると、原稿のインク面が光源の方を向いて いると、インク面と感光面に透明フィルムの隙間の層が生じ、乱反射が起きやすくなる。まあ、OHPシート は非常に薄いものなので、どのていどの乱反射が起きるのかは分からないが、もし乱反射が起きると、 焼かない部分も感光してしまったり、斜めに光が入ってパターンが細く焼き付けられてしまったりする。と なると、もうここで勝負あり。今までの苦労が水の泡……………。

 通常印刷と反転印刷した原稿は、分からなくならない様にどちらがインク面が分かるようなマークを 書込んでおこう。また、原稿作成時に、表と裏がきちんと重なるように、「アタリ」も描いておくと 良い。アタリを描いておけば、焼き付け前の原稿セット時に何かと便利である。
 もし、あなたのプリンタに反転機能が無い場合(最近の家庭用プリンタにはたいてい有ると思いますが)、 原稿データをソフトで左右反転させて印刷すればOK。が、その場合、表と裏でパターンに微妙にズレが 生じる可能性が有るので気を付けよう。
 また、刷り上がった原稿は、一度光に透かしてみて、黒部分が光をしっかりと遮断するか確かめよう。 もし遮断が完全でない場合は、細かいパターンが潰れやすいが、もう1度重ねて印刷すること(表と裏を 間違えぬように!!)。説明が前後するが、印刷は”白黒印刷”で行なう様に。

 因みに、プリンタの「用紙設定」に「OHPシート」が有る場合、それだけは避けるように。OHPシートは、 本来光を通して使うものなので、OHPシート設定の印刷だと黒部分の印刷が隙間だらけで印刷(※私のプリンタ の場合)されてしまうのだ(もちろん、この隙間から光が通るのである)。OHPシートは、なにもそれ用の設定 でないと印刷してはならない、と言う訳ではない。
 印刷は、OHPシート以外の設定で、一番きれいな、そしてしっかり印刷の出来る設定を選んで印刷しよう。 トライ&エラーで色々な設定を組み合わせて探し出そう。

◎いよいよ最終局面へ…

 原稿作成の重要ポイントをまとめてみよう。

 あとの作業は焼き付けとエッチング作業のみ。今までの作業もそうだが、これら最後の工程が一番の キモである。そして、一番厄介な工程でもある。
 それでは、最後の工程解説の説明へ…。



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