藤埼ヒロPresents・バカやるにも程があるモデリング

藤埼式・探照灯ディティールアップ術

◎スケールを考えると妥当なんだけど…

 探照灯のディティールアップ方法の解説です。

 実物は、明かりで周囲を照らす、と言う用途のため、レンズと言う透明な部分が存在しますが、1/700となると、 探照灯自体のパーツサイズが小さくなってしまうため、普通は不透明のプラのムクと言う形で作られます。 まあ、1/700なんてスケールは、何かと制約が多い縮尺ではあります。1/700だと、1メートルは1.428571428571428…mmと、 循環小数になってしまいます。因みに、私、藤埼の身長(=約176cm)は、これも循環小数になるんですが、 四捨五入して約2.51mm。

 そんなにこだわらないなら、普通、探照灯のレンズ部分は銀で塗ってしまいます。と言うか、そうやっても罪には 問われません。が、最近はエッチングパーツを始めとするディティールアップパーツが変に充実してしまい、 探照灯にも、何とも罪作りな事に、透明プラで出来たディティールアップパーツが存在しております(参照)。…で、 なもんで、こういう所をアダオロソカにしてると、時として、作者の意図を理解しない、心無いツッコミを入れら………
 イヤ、でも、まあ、これを使えば、レンズ部分がキラキラ透明な探照灯を、手軽に自分が作ったフネに載せられる!!

 んですが、だがしかし。

 この手のディティールアップパーツの常として、手に入りづらいという問題があります。こういうパーツって、 余程品揃えの良いお店でもないと、お店に在庫が無いんですねえ。しかも日本海軍用のしか無いし。米英独仏露波(←なんだ この最後の”波”ってのは)、海自、海保、そしてあらゆる国と時代のフネも手がける/手がけたい藤埼としては、これが 非常に面白く無い。…イヤまあ、1/700ともなれば、小さい探照灯なんかは黙ってても判らんだろうけど、戦艦とかに 載ってるデカイのは如何ともし難く…。それに他海軍には使えないモノもいっぱい余りそうで、面白くないし。それに、 私個人のポリシーとして、可能な限り、他力本願ではなく、自分自身の手で作りたい、と言う欲求もありまして… こらそこ、「自分の首絞めるのって、楽しいですか??」とか言わない!!

 と言うことで、何とかこのキラキラレンズを自作できないか??と、その方法を探究していたのですが、ようやく、その 回答を得られました。以下にその方法を解説して行きましょう。

◎探照灯には何を使う?

 まずは使う道具と素材の説明。

 …で、いきなり出てくるナナコと言う道具ですが。

ナナコたんハァハァ(違)  これがナナコです。元々は、彫金に使うもので、玉ぐり工具ともビーディングツールとも言いますが、これは戦車作ってる 人には案外御馴染みな道具だったりします。これでプラ板を打ち抜くと、半円形に打ち抜くことが出来るので、リベットを 大量に作るには非常に適した道具なんですね。なので、コレでレンズを作ります。因みに、これで打ち抜けるサイズですが、 実に#0(0.25mm)〜#22(1.35mm)まで、0.05mm刻みで23種の径で打ち抜けます。木槌、柔らかいゴム敷きは、ナナコで 素材をぶち抜く際に使うものです。

 因みにナナコ、模型店でビーディングツールとかリベットツールとして買うと、物凄く高い値段になりますが、彫金道具を 扱っているお店だと、23本フルセット送料込みでも、\5000くらいで買えてしまいます。まあ、高いと言えば高いですが、 しかし模型店だと\8000くらいは軽くしてしまいます。因みに、1本単位でのバラ買いだと、もっと安いお値段です。

 あと、ナナコの活用法としては、ポンチ代わりに、薄手の素材を抜くと言うのもあります。0.2mm未満の素材 なら、#0でも丸みが付く事なく抜けるので、これも案外重宝します。

 ポンチは、レザークラフトに使う道具で、以前から丸い形の打ち抜きに使われていたものですが、ここでは専らナナコで 打ち抜けない大きいサイズの探照灯(例えば大和型の150cm探照灯=1/700で約2.14mm)に使うくらいです(先の150cm探照灯だと、 大体6〜7号)。で、何でここでは昔から使われてるポンチでは無しにナナコを第一に挙げているかと言うと、ポンチは、 サイズ幅の間隔が意外にでかいからです。参考としてこのページの最下部に参考として挙げておきますが、サイズの 刻みが0.3mmなので、これでは大雑把な工作しか出来ません。なので、ナナコ使うのが手っ取り早いと。

 因みに、『ネイビーヤードVol.1』ではポンチを使った110cm探照灯のディティールアップ方法が紹介されていましたが、 ポンチでは、窪みを開ける関係上、90cm、60cm探照灯はちょっと苦しいと思います。あと、ポンチよりナナコを使う利点が まだあるんですが、それは製作法の解説のところで。

 ナナコは、ここで購入できます。”石留工具/タガネ”と言う 所を見てみてください。

 ピンバイスは、探照灯パーツのレンズ取り付け部分に穴(窪み)を開けるために使います。爪楊枝は、ナナコで抜いた レンズをはめ込む際に使います。

 レンズにする素材は、透明塩ビ板が一番のオススメです。厚みは0.3mm〜0.5mmが一番良いでしょう。タミヤの透明プラ板 は、実際やってみれば判りますが、キレイに抜けないうえに透明度もイマイチなので、お勧めできません。

◎つくりかた

 では、上記道具、素材を使って、作り方を解説していきましょう。あ、上にはいちいち挙げませんでしたが、探照灯の パーツと銀の塗料も忘れずに用意しておく事。ここでは、例として、WL純正の大型艦用リニューアルパーツの90cm探照灯 (パーツW3)を使います。他サイズの探照灯、他メーカのパーツ、他海軍の探照灯でも、手順はこれと変わりません。

窪みを穿つ  まずはパーツのレンズ面に窪みを穿ちます。レンズ面の中心に、ケガキ針などで中心点をマークしておき、ピンバイスで 窪みをさらいます。パーツの中心から外れぬよう、慎重に作業します(多少ずれてもあまり気になりませんけど)。また、 あまり深く彫らないようにも注意します。一概にこうとは言えないので、穿つ深さは、各自経験を積んでくださいとしか 言えません(深く彫ってしまうと、効果ありません)。穿つ径も経験を積んでもらうのが良いです。あまり正確を期する よりも、作業の利便性を計ったほうが良い工作ではあります。あと、小さいパーツは、ランナーにつけたまま作業するのが やりやすいです。今回は、直径1mmの窪みとしてあります。深さは、ドリルの山の部分は完全に隠れて、なおかつ、ちょっと 埋もれるくらいの深さです。これはレンズの素材の厚さを見て、調節してください。

色を塗る  そして塗装してしまいます。順番としては、筆の場合は窪みに銀を塗る→窪み以外を塗装、エアブラシなら全体を塗装 →窪みを筆で塗装がベストでしょう。写真がピンボケで申し訳無いですが、どんな感じかは分かるかと。使う銀ですが、 小面積でもキラリとした塗面になる銀をチョイスしましょう。一番のオススメは、写真もそうですが、タミヤペイントマーカーの 『クロームシルバー』です。次点は、GSIクレオスのガンダムマーカーの『ガンダムメッキシルバー』。彫る深さも関係しますが、 タミヤの方は、かなり明るい探照灯になって、ガンダムマーカーは、ちょっと深みのあると言うか、暗めの銀になります。 クレオスのメタルカラーを使うのも良いでしょう。銀塗装を工夫すれば、色々と変わった表現が可能となりますね。あと、 只でさえスペースに余裕が無いので、窪みに銀のシート(極薄のアルミテープとか)をかますのは、お勧めできません。 やはり塗装するのが一番だと思います。

 因みに、こんな小さいのにギラギラし過ぎるのがイヤだ、と言うのなら、実は窪み部分は無塗装でも案外見れるものが 作れます(全面グレイ塗装でもいけそうです)。ただ、WL純正リニューアルパーツの場合、ロットにより、プラの色が 暗い物もあるので注意してください(全面グレイ塗装の場合も注意)。ピットロードのものは、明るいグレイで安定 していて、ロットによるバラツキは殆ど無いみたいです。

レンズを打ち抜く  塗料の乾く間を使って、ナナコでレンズを打ち抜いておきましょう。90cm探照灯には0.3mm塩ビ板がピッタリです。1mmの 窪みにはめ込むものなので、それよりわずかに小さい径のレンズとするため、#13(0.9mm)のナナコを使います。これを 塩ビ板に打ちつけると、微妙にアールの付いたレンズが出来上がります。因みに、径<厚みの差が大きいと、キレイな丸い 頭が打ち抜けます。

 実際の探照灯は、レンズ面はフラットになっていますが、ここでは敢えてアールの付くナナコを使っています。と言うのも、 アールが付くことによって光の反射が微妙に変化し、小さい径でも、よりそれらしく見えるからです。あと、ポンチは、 その構造上、径の小さい物ほど、抜いたものを取り出す際に傷が付き易くなり、この点でも不利です(正直、取り出し冶具を 用意しないといけないですね)。

レンズを打ち抜く サンプルとして、1mm径のポンチ抜き、ナナコ抜きのレンズ(0.3mm厚)の比較写真を載せておきます。左の2つ縦並びが ポンチ抜き、右の一つがナナコ抜きです。写真が不鮮明ですが、違い(特にフチの部分を見比べて下さい)がお分かりに なるでしょうか??ただし、径が大きくなれば、ポンチの不利も大分解消されます。

 ナナコの使い方としては、戦車のリベット作成の方では、硬いゴム板を敷いて打ち抜く、と言うのが一般的ですが、実は これだと抜いたのがゴム板にめり込んでしまい、それを掘り出すのがひと苦労だったりします(透明で小さいパーツなモンで…)。 私は\100均で買った、印鑑捺印用のマットを使っています。これにナナコを打ちつけると、意外に、文字通り「ボヨン」と弾んで、 抜いたのも、殆ど埋もれる事もないので(但し、過剰に力入れすぎると埋もれます)、レンズ作成においては、こちらを オススメします。力加減は、慣れが必要ですが、習得するにはそんなに手間は掛かりません。塩ビ板は比較的安いし、1枚あれば 結構な量分なので、心おきなく練習できる、ってモンです。

 ただ、普通のプラ板を使ってのリベット作成は、硬いゴム板の方がキレイに抜けます。普通のプラ板を捺印マットで抜くと、 あまりキレイな円、アールで抜けませんので注意(これは素材の差で生じるものだと思います)。

レンズをはめる  塗装が乾いたら、レンズをはめ込みます。爪楊枝の先っちょを少し切り飛ばしたものを、先を湿すとレンズを簡単に 拾えます(ここで変に粘着力のある物を使うと、固定の段で要らぬ苦労をします)。アールが付いたほうを表にして、 傾いたりしないように、窪みにあてがったら、爪楊枝のお尻の部分(これも少し切り飛ばしておく)で一気に押し込みます。 窪みが適度な深さで、窪みとレンズの径が適切だと(レンズの径は窪みの径より0.1mm程度小さい)、接着剤を流し込んだり しなくても、しっかりとはめ込めます。写真はピンボケで分かりづらいですが、これでレンズがはまっている状態です。 不安なら、透明の接着剤やクリアー塗料、流し込み接着剤などを少量使うのも結構ですが、量がちょっとでも多くなると、 折角の工作が汚くなってしまうことがあるので注意。このへんは向後の研究課題でしょうか。

完成状態  これが完成状態です。これもピンボケで判りづらいですが、キラリとしている具合はお分かりいただけるかと。 左側は、同じ手順で作った、60cm信号探照灯です。こちらのレンズ径は0.5mm、銀にはガンダムメッキシルバーを 使っています。

◎おわりに

 以上、藤埼式の探照灯作成法となります。正直、ホントに1/700だとレンズを銀に塗るだけでも(ひと手間加えて、 クリアーをかけると更に良い)バチは当たらんと思うのですが、でも、こういうワンポイントがあると、作品のイメージ はグンと上がるのも確かです。道具が安いものでは無い事と、作業が細かい事を除き、作業法はそんなに難しくないと 思います。

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※参考:ポンチの径について

 ポンチ(鳩目抜き)のサイズについて、以下にまとめておきます。一応、標準的な(と言うか暗黙の了解的な)規格は あるみたいですが、実際のところ、メーカによりかなり差があるようです。

号数径(mm)
10.3
20.6
30.9(1.0)
41.2
51.5
61.8
72.1(2.0)
82.4
103.0
123.6
133.9(4.0)
154.5
175.1(5.0)

 御覧のように、1号に付き0.3mm刻みで設定されており、最大は、100号(30mm。しかし何故か31mmとしているメーカもある)と なります。この表は、普通にお店で見つけられる号を中心に挙げています。最小サイズとして1号を挙げていますが、この 号は全くと言っていいほど、一般には流通しておりません。お店で見つけられるのは、殆どの場合、2号からとなります。 もしかしたら取り寄せか特注で入手出来るかもしれませんが…。

 カッコ内は、メーカにより、その径で作られているものもある、と言うことです。このように、標準の規格は存在 するものの、しかし全てのメーカが、その全号を作っているワケでも無さそうなのが何とも…。また、これとは別に、1mm単位で サイズを設定しているメーカもあります。



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