これぞ自作エッチングの決定打!!だと思う

オリジナルエッチングパーツ製作法『F式』

〜新・製作編〜


◎原稿作成―書いて、印刷して、それだけ。―

 簡単に流れを説明すると、こうなります。

  原稿作成→印刷→原稿の表裏合わせ→転写準備完了

 自分で言うのもなんですが…やけに淡白だなオイ(笑)。”簡単に”もヘッタクレも無いじゃんか。

 …とは言え、ただ作業をこなせば良い、と言うワケにもいきません。では、各作業のポイントや注意点など、 以下に説明していきましょう。 

 ・原稿作成

 基本的に、印刷が左右逆でレジストになるので、欲しい形を素直に作図していきます。F式は、どちらかと 言うと、大きいパーツよりも小さいパーツの製作を得意とする方式だと思います。まあ、これは旧方式も同様だったけど。

 また、1回にかかるコストも安いので、一つの原稿にあまりあれこれ盛り込もうとせずに、例えばレーダー なら、1タイプを数基(大小にかかわらず、大体2〜3基と言った所)、爆雷投射機なら1回のエッチングで1〜2隻分 くらいを賄える位に押さえて作図すると具合が良いです。種類と数を抑えるのは、均一な腐食と言う点でも有利 だったりします。

 原稿自体のサイズも、パーツのサイズ、スケールとの相談になると思いますが、表裏合わせて名刺サイズ〜最大で ハガキ半分のサイズ位に押さえるようにすると良いでしょう。1/700スケールなら、大抵はこの面積で十分間に合う はずです。表裏合わせ時の目安となるトンボも一緒に作図すると便利。

 ・印刷

 印刷するときは、コントラストははっきりと、トナー濃度を濃い目に設定する事。とくにトナーが薄いと、金属板に 上手く転写できなかったり、ベタ部分に転写のムラが出来て(=転写時のトナーのくっつきが悪い)、パーツ表面に アバタが出来たりしてしまいます。最も、これは機種ごとに傾向があるだろうから、様子を見て調節するように。 これも経験がモノを言うところですね。

 十分な裏づけは取れていませんが、メーカにより、ベタ部分の印刷にムラが出る事があります。トナー カートリッジを取り替えたばかり、と言う場合は気になりませんけど、消耗するにつれ、これは顕著に現れて来ます (私の使っているプリンタはムラになりやすいです)。

 まあ、1/700で面積の大きいベタの作画となると、せいぜい機銃シールドくらいしか無いでしょうが、 例えば、戦車用のシェルツェンのような面積の大きいパーツや展示用の銘板のような、ベタの占める割合の 大きいものを作りたい、と言った場合は注意が必要です。こう言うケースは、アウトラインのみを太めの 線で作画し、転写後に残す部分をレジストペンやグランドで塗りつぶすようにすると良いでしょう(線は、 面よりアバタにはなりにくいですが、やはり、トナーが少なくなると不安定になる事もあります)。多少の アバタはパーツ製作後の表面処理で何とかなるでしょうが、この点は頭に入れておきましょう。

 ・表裏合わせ

あわせた状態の原稿  表と裏の一組を合わせてパターンを一致させます。F式ではこれが最も難しい工程で、と言うのも、厚めの ファイン用紙を、印刷の裏側から、印刷物を光に透かして見ながら一致させないといけないからです。

 いくつか方策はあると思いますが、私の取っている方法は。

 一。作画は、表と裏をいっぺんに行い、表裏隣り合わせで印刷し、表裏一組で切り出す。
 二。隣り合わせにするとき、表面と裏面の間に隙間を、大体10mmくらい設けておく(ここがポイント)。
 三。合わせは非常に原始的に、折って重ねる。光源のちかくで(卓上スタンドが無いと厳しいかも)パターンを 透かしつつ一致させるのである。
 四。一致したところで、パターンがずれないように気を付けながら、折れ目を付ける。

 原稿は、下図のような感じになります。

原稿作成の一例

 …まあ、神経を使うとは言え、案外、これでも上手く合うモンなんです。ズレが生じたとしても、最大で0.2mmも 行きませんでした。2番目のところで、表裏面の間に隙間を空けておく、と書きましたが、この間隙がないと、転写時 にズレが生じやすいです。

 これは何故かと言いますと、金属板の厚みの中央に折れ線が来ないためで、また、折れ線自体も結構あいまいだから です。金属板を挟んだとき、折れ線がどちらかの側に寄るような事になって、パターンが引っ張られるような 感じになってしまい、それがズレを生じさせるのです。そこで、中央に余裕を設けておけば、パターンが引っ張られる 事もなくなる、と言う道理。

ズレ発生のメカニズム

 まあ、如何にハンドメイドとは言えど、出来る事なら、ズレは作りたくないもの。この方法も確実、とは 言えないので、現在もベストな方法を探究中です。

◎転写―トナーからレジストへ―

 アイロンを使って、紙に印刷したトナーを金属板に移し変えるのが、この工程のキモです。全体的に、表裏 合わせほどシビアなテクニックは要求しませんが、作業は確実丁寧に。

 ・脱脂

脱脂中でペーパーがけ中の真鍮板  転写の前に、金属板を脱脂しておきましょう。表面の脂や表面の酸化膜をキレイに取り除かないと、転写は 確実に失敗します。やり方は、水を付けて軽くペーパーで水研ぎするだけ。

 電子工作用に銅用の脱脂剤が、美術のほうでは酸の金属洗い剤(これの正体はクエン酸)もありますが、 これを使っても良いでしょう。経験的に、脱脂剤の方が入手は容易ですが(電子工作用品を扱っているお店なら、 サンハヤト製のが普通に置いてあると思います)、真鍮や洋白といった銅合金、ステンレスなどの非銅合金にも 使えるかどうかは不明です…まあ、だったら地道にペーパーでこすった方が早いですね(笑)。

 金属は、人体に有害なものもあります。金属粉が出るので、作業時は手袋など使うと良いでしょう。素手でやるのなら、 作業後はしっかりと石鹸水で手を洗って下さい(真鍮は結構、手が真っ黒になるぞ)。

 ・転写

実際に、アイロンがけ中です(笑)  転写工程は、普通のアイロンがけとやる事はあまり変わりません。

 ポイントは、万遍なくアイロンをかけると言う事。アイロンの温度設定は中温がベストで、あまりに 低いとトナーが付かないし、高く設定しても、今度はトナーが溶け過ぎて滲みが生じたり、パターンが 太くなったり細部がつぶれたり、と言う現象が発生します。事前にテストしてみて(そう、F式は容易に テストできるのも強みなのです)、使うアイロンの温度設定をよ〜く確認しておきましょう。

金属板への転写

 最初は、金属板にアイロンを乗せて、全体に熱を行きわたらせます。少しの間放置しておき、まずは トナーを金属板にくっつけてしまいましょう。

 全体的にトナーが付いた頃合で、比較的強めにグイグイと押す感じで、パターンを密着させていきます。 殆どのアイロンには、底面にキャンバーみたいな膨らみが付いているので、押し付ける時は、膨らみを 避けて、平らな部分を使うようしないと、膨らみに押されて金属板に歪みが生じてしまいます。

 押し忘れの無いように、大体3〜4分(サイズにより変化)、全体を満遍なくアイロンがけして、 転写工程は完了です。

 ・紙の除去

まず、水に入れます  水を張った容器に、アイロンがけを終えた金属板を放り込みます。4〜5分くらい置いて、紙が水を吸って クニャとなったら取り出し、そのまま紙を取り除きます。張り付いたトナーの形に紙繊維が残りますが、紙が 充分に水を吸っていれば、指の腹でこすれば(強くこすらないように)、あらかた取り除けます。

まずは紙をはがして 水気を取って消しゴムをかける  腐食する部分に多少のパルプが残っていても、あとの作業に影響はあまりありませんが、やはり可能な 限りは繊維を取り除いておきたいところ。濡れた状態で消しゴムをかけてやると、しつこく残る繊維を キレイに取り除けまする。この場合も、あまり力を入れずに軽くかけること。

 紙の除去については、メーカにより、作業に多少の差が出てくると思います。水を吸わせても、なかなか キレイに取り除けないと言う場合は、前のバージョンで説明していたように、”紙を蒸す”作業を 行ってみましょう。

 紙が充分に水を吸ったら、濡れ雑巾にはさみ、アイロンを当てて、30秒くらい蒸します。この作業を 行う事により、紙の除去がかなり容易になります。蒸しあがったら、少しの間置いて冷まし、紙をはがし ましょう。上手く行けば、転写したパターンの形に、パルプが残るはず。蒸す工程は、不安なら2〜3度 行っても大丈夫。残ったパルプは、これも消しゴムを使いましょう。一応、ここで推奨している紙2種は、 水に入れるだけでキレイに取り除けるます。コクヨの方は繊維がしつこく残る傾向がありますが、 これも軽く消しゴムを使えば簡単に取り除けちゃいます。

完成!!  ここまでで、転写工程は完了です。除去完了後は、水気を完全に取っておきましょう。

 ここまでの工程で、金属板にレジストを施した事になります。あとはそのまま腐食液に放り込むだけ… しかし何ですか、旧方式と比べて、えらい端折った工程ですな(笑)。「原稿作成」「印刷」「脱脂」 「転写」「紙の除去」…ホントにこんだけ。…自分で言うのもなんですが、F式のド単純さを改めて 認識した次第です。

 あとに控える作業は、と言うと、「腐食」「レジスト除去」だけだったりして。腐食はともかく、 「レジスト除去」も旧方式と比べて、えらく単純な作業です。これらもよもや書くことあるんかいな、と言う感じ なんだけど、やっぱ無いとしまりが無いので(笑)書くことにします。

 …と言う事で、いよいよ最終工程へと進みます。

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