3月31日 西帰浦―表善

 朝から晴れ。少し肌寒い気温の中、20人ほどの見送りを受けて西帰浦市(島南部の中心地)の公園から8時25分に歩きはじめる。メンバーは昨年、朝鮮通信使400年を記念して行われた「21世紀の朝鮮通信使 ソウルー東京 友情ウオーク」を共に歩いた日本・韓国のウオーカー18人と友人を合わせて21人。日本メンバーは18人(男7、女11)、韓国メンバーは3人(男)。男は川田茂さんを隊長に、遠藤靖夫、太田太、阿部鐐次、阿部覚、小瀬子節夫の各氏と私。女は菅洋子、稲垣ユキ、佐藤恵子、井上政江、岡安サダ子、延与恭子、李恵美子、韓福子、康静春、大村美奈子、李明愛の皆さん。韓国隊は宣相圭、呉世政、柳済天の各氏。宣さんは昨年の「正使」役で、現在は韓国体育振興会の総裁を務めている。呉さんは同会の釜山支部長で建設会社の管理部長、昨年の通信使ウオークや3年前の韓国一周ウオークにも参加して歩いた。柳さんは同会理事で昨年の通信使ウオークでは韓国コースでスタッフとして我々を支えてくれた。今回もワゴン車を運転し、荷物の運搬や案内など、全体のマネージメントで支えてくれる。今日一日だけ参加の崔さんも元気に歩く。
  まず島の南海岸を東に向かう。街中の交差点では国会議員選挙の最際中で、交差点では二人の候補者の運動員が向かいあって、横に並んで指示を訴える。また日本と違って、立候補者のポスターには番号が書き入れ、掲げられた場所もある。郊外に出た場所の公園前で食堂のアジュンマ(おばさん)がチョコレートを笑顔で差し入れてくれた。歩き出して1時間、ウオーキングスタイルに身を包んだ金寅九さん、ユン・インヒさん、カン・ヒチョンさん3人が待っていた。金さんは柳さんが勤める「花郎団」の会長。「花郎団」というのは青少年たちの体と心を鍛える団体。歩きながら話し、休憩場所では四葉のクローバーを摘んで女性陣にプレゼントしてくれた。1時間共に歩いた後、激励の見送りを受けてサヨナラ。
  長く長く2キロも続く町並みの桜並木が満開だ。ウグイスが鳴いている。韓国には珍しい杉並木もある。風か強く後方から吹いてくる。済州島は「三多島」とも言われ「風と石と女」が多いという。とにかく風は強いと聞いていたが、海岸線でもないのに、風は予想以上に吹いてくる。この強い風を防ぐため、畑を黒い溶岩の石を組んで防風壁にしている。形は整然としていないが、ただ積み上げただけで。隙間がある。これは空間がないと風の抵抗をまともに受けるので、いわば「風抜き」して適度に風を防ごうという、生活の知恵から生み出されたもの。

  昼食は南天の食堂で「ヘルムタン」。カニ・エビ・アワビ・タコやたくさんの貝が入った海鮮鍋で、少し辛いが味がよくしみ出ていてすこぶるうまい。タコは丸ごとアジュンマが鍋にいれるという豪快な鍋。午後から風が一段と強くなる。歩道はしっかりしていて、段差のある歩道はアンツーカーで舗装されて広く歩きやすい。韓国本土に比べて、しっかりしたつくり。鼻水がしきりに出る。スギ花粉は無いはずで、何かのアレルギー。3年前の韓国一周ウオークでも同じだった。バス停のデザインは済州島名物の「トルハルバン」とミカンをあしらっている。「トルハルバン」というのは帽子をかぶり大きな目をしたユーモラスな石像(溶岩石で出来ている)で、島のシンボル。「石のおじいさん」という、村の守り神として島には沢山ある。午後3時、島を一周する周回国道から分かれて海岸道路に出る。黒い溶岩の海岸に白い灯台が映える、菜の花が咲き乱れ、行き交う人はほとんどいない。若い2人の女性がウオークスタイルで追い抜いてゆく。反対側からはスポーツサイクル集団がすれ違う。房総半島を歩いているような雰囲気。馬が2頭つながれている。小ぶりの馬で、これが済州馬かな。遠くに丸い形の「オルム」という寄生火山が見える。午後5時前、今日の宿に到着。歩行距離32キロ。
海岸リゾートにある「ヘビチコンドミニアム」で、広々としたリビングルーム、ベッドルーム、オンドルルームにシャワー・トイレが二つある。1部屋には6人は泊まれて、1人あたりW(ウオン)40、000。現在のレートは100円が980W程度なので、約4、000円。夏のシーズンにはだいぶ高くなるようだ。
支援ワゴンと柳さん(上)ずんぐりむっくりの済州馬(下)

4月1日 表善ー城山
 コンドミニアムの3階ベランダから見ると、海上の雲間から日の出。7時スタート、昨夜の食堂へ。少しヒンヤリしているがなかなかの上天気。朝食は「テンジャンチゲ」。宣さん指導のストレッチをして8時に歩き出す。遠浅の浜は海水浴場で、菜の花畑にお墓がある。犬を散歩しているアジュンマ(おばさん)が道を横断。ソーラーハウスでは花壇に水撒きしている。バス停で、通学の小学生が遊びながらバスの到着待ち。カササギの「カチャ、カチャ」の鳴き声。海岸沿いのみ道に出ると、黒のウエットスーツに身を包んで海女たちが岩礁沿いに漁をしている。干したイカが並び、風に吹かれ光を受けて白く光って見える(写真下)。今日の目的地、城山日出峰が見えてくる。干したイカを売る店が並び、アガシ(娘さん)たちが炭火で焼いたイカを売っている。
 つまみながら「とても美人だね」と川田さん。1枚おまけしてくれたのでみんなで食べる。程よい塩味で柔らかく美味しい。海越しに城山日出峰がだんだん大きく迫ってくる。圧倒的な存在感の火山だ。世界遺産に登録された火山は、海に突き出しているように見えるが、その裾野は陸とつながっている。済州島で見たかった山だ。午後12時半、この山の麓にゴール。歩行距離は23「。柳さんお勧めの食堂で、済州島名物の「太刀魚(カルチ)料理」の昼食。懐かしい顔のノ(盧)さんがガールフレンドと共に迎えてくれた。昨年の朝鮮通信使友情ウオークで韓国内を歩いた時の、スタッフでいろいろと世話になった人だ。焼いた「カルチクイ」と煮込んだ「カルチチョリム」がうまい。懐かしい思い出話に花が咲く。柳さん運転のワゴン車と食堂のおやじさん運転の車で、昨夜のコンドミニアムへ戻る。夕食は遠藤さんの提案で、自前で料理を作ってのパーティーに。女性たちは「韓国に来てまで、自分たちで作るなんて?」と一時は逡巡したものの、結局男性も手伝いうことで了承。韓福子さんが「料理長」になり、各部屋にある電気釜でご飯を炊き、備え付けの電気調理器でおかずを作り、蒸しブタやおつまみを買って来ての「パーティー料理」はなかなか豪華。ノ(盧)さんカップルも加わり、和気あいあいとビール、焼酎、ウイスキーのグラスを重ねて、締めくくりは、大きい阿部さんの手品。
見事な手さばきに皆ビックリしながら旧交を温めた。
世界遺産の城山日出峰(上)、ワカメもって行きな!とアジュマ(下)