top

アポリネール / いばら

とことこさん、こんばんは。

だいぶ前になりますけれど、アポリネールの詩の話が出て、
アポリネール詩集を買ったのですが、
以前原文&アポリネール自身の朗読ををご紹介した
「マリー」という詩の訳文をお知らせするのをすっかり忘れていました。

〜*〜*〜*〜*〜*〜〜*〜*〜*〜*〜*〜〜*〜*〜*〜*〜*〜
マリー

少女よ きみはそこで踊っていた
やがておばあさんが踊るだろうか
はねまわるマクロット・ダンス
鐘がもうじき鳴り渡るだろう
マリーよ 一体いつ帰ってくるのか

仮面の人たちが黙っている
音楽はあんなに遠く
空の置くからやってくるようだ
そうだぼくはあなたを愛したい けれどもそれはやっとのこと
してぼくの不幸は甘やかだ

羊は雲のなかに去って行く
羊の毛の房 銀の房
兵士が通りすぎ
どうして一つの心さえ所有できないのか
あの変わりやすい変わりやすい心 そしてぼくにはわからない

どうしてぼくが知ろう おまえの髪がどこへ行ってしまうか
泡立つ海のようにちぢれた髪が
どうして知ろう おまえの髪がどこへ行ってしまうか
ぼくたちの誓いがまきちらす
秋の葉のおまえの手が

ぼくはセーヌのほとりを歩いていった
古い一冊の本をかかえて
川はぼくの苦しみに似ている
流れ流れてつきることを知らない
週は一体 いつ終わるのだろう


No.984 - 2002/06/22(Sat) 23:35

そうそう、これの本文がのっているページも
再度ご紹介。
http://www.wiu.edu/Apollinaire/Biographie.htm#Marie_Laurencin_les_femmes
このページの上の方にもアポリネールと接点のあった女性や
詩を紹介してあったり、時代がかった写真があったり、
見ていて面白いです。(フランス語はよくわかんないけど。)

http://www.wiu.edu/Apollinaire/Apollinaire_recite_Marie.wav
これがアポリネールの朗読。
聴きながら訳文を読むのもいいですよね。

うっかりしてました。
上の「マリー」の訳文は飯島耕一によるものです。
弥生書房の『アポリネール詩集』から。

No.986 - 2002/06/22(Sat) 23:44

素敵だなー / とことこ

詩を読むことって映画を見ているような感じになることがあります。
絵を見ているときもそうですね。写真も音楽も一時の夢を見るような・・。

私にも少女の時があった
ああ、世界は光りに満ちていた
前をふさぐものは何もないと信じていた

やがて全ては甘やかな思い出と変わり
棺の中で眠るだろ
No.991 - 2002/06/23(Sun) 08:27

「夜の手帖」から



スペイン王よ
 マントを召されよ
それに短剣も
 動物園には
中風病みの虎がいます
 でも王族です
見るも哀れな姿です

日暮れの宮殿
 うっとりするような空気
恩知らずの陰険さ
 それだけです私の感じるのは

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これが「夜の手帖」の最初の詩です。


「夜の手帖」 / いばら

マリー・ローランサンの詩集でしたよね、たしか。
「虎」の紹介をありがとうございます。
最後の4行が好きです。
「宮殿」の二文字だけでもなにかけだるくて優雅な空気を
想像してしまいますねえ。

虎で思い出した、全然別の詩。
吉原幸子の『魚たち・犬たち・少女たち』に収録されている
「少女は…」という3つの詩から。

II

さびしいオオカミの吠える山みち
いたいハリネズミのころがる坂みち
とら刈りのトラのねむる森
みんああたしの領土
鼻づまりのゾウや 中耳炎のウサギや
みんあだいすきでだいっきらいでかわいそう

公園の吊り輪に
さかさまにぶら下がってぐるぐるまわって
ジャングルジムの上すたすたあるいて
トカゲのしっぽもいでみて

あたしは酋長で お医者さまで ターザンで
女王さまで めすライオンで ネコのヒゲよ

(草むらのなかのおとしものなにって?
 いやあね
 紙シバイの十円)

※これに谷山浩子が曲をつけて歌にしてしまいました。

「夜の手帖」マリー・ローランサン / とことこ

アポリネールというと反射的にマリー・ローランサンを
思い出して、そうするとあのほんわりとした絵を思い出して
それから「夜の手帖」を思い出して、この本を手に入れたときの
いばらさんとのいきさつを思い出して、
それから・・・
やっとアポリネールのセーヌの流れにたどり着くことが出来て
パリへ夫と行った時の楽しいことも思い出すことが出来て・・・

ラ・セーヌのバトーといっしょに・・
しあわせなひとときが流れる・・・。

ミラボー橋の下 セーヌは流れる
http://www.wiu.edu/Apollinaire/Apollinaire_recite_Marie.wav

ご紹介ありがとう

『あたしは酋長で お医者さまで ターザンで
女王さまで めすライオンで ネコのヒゲよ』

ここがいいなあ、伸び伸びしてていいなあ。
こういうの好きです。くすくすってしちゃう。

>草むらのなかのおとしものなにって?

それはね。さっき猫が通ったでしょ?
埋めて行きましたけどね。香りが高くて・・くすくす。

2002.6.24

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
リー・ローランサン「夜の手帖」のあとがきから。

日本人でローランサンその人に接した一人として東郷青児があり
その時の印象を次のように書いている。


「私はパーク・モンソーで犬を連れたローランサンをよく見かけたが
ある日、死んだ小松清に連れられて、マルクスの孫娘という社会評論家の
家を訪問したとき、偶然、来合わせていた彼女に会ったことがある。
チャールストンが流行って極端に短いスカートをパリ娘がはいていた当時
黒のカーペットを敷き詰めたマルクス家のサロンで、引きずるような
長いスカートをはいたローランサンが金色のシガレット・ホルダーで実に
うまそうに煙草を吸っているのである。私は月並みな挨拶をすませて
厚化粧をしたローランサンの前から、あわてて姿を消したのだが
いつまでも彼女の体臭と、ねばっこい彼女の視線が忘れられなかった。
黒ずくめのサロンが深海の底で、ローランサンが極彩色の深海魚のように
思えたからだ」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これはいつ頃なんでしょうね。1920〜30ぐらいかな。
アポリネールと別れてからローランサンは活躍していきアポリネールは
彼女のことが忘れられないまま早くにこの世を去ったと言うのが真実味を
帯びてきました(笑)

私が東郷青児の絵を始めて見たのは小学生の時ですから・・・・・・
わーー昔だーー。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「鎮静剤」、堀口大学訳と大島辰夫訳を並べてみました。
この詩は句読点がないのが特徴だと何かで読んだような気がするんです。
(うろ覚えです)原文は載っていませんでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  「鎮静剤」

 マリー・ローランサン(堀口大学訳)

 退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です

 悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です

 不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です

 病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です

 捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です

 よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です

追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です

死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  「鎮静剤」
  (大島辰夫訳)

 もの憂いよりは悲しくて

 悲しいよりは不仕合わせ

 不仕合わせよりは苦しくて

苦しいよりは捨てられて

 捨てられたよりは天涯孤独

 孤独の身よりは流浪の身

 流浪の身よりは死んだ者

 死んでるよりは忘れられて。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

金子由香利

ミラボー橋
(RE PONT MIRABEAU)

 ミラボー橋の下をセーヌ河が流れ
 われらの恋が流れる
 私は思い出す 悩みの後には
 楽しみが 来るという
 日が暮れて 鐘が鳴り
 月日は流れ 私は残る
 
 手と手を取り顔と顔を
 むけ合おう
 こうしていると彼等の腕の橋の下を
 疲れた無窮の時が流れる
 日が暮れて 鐘が鳴り
 月日は流れ 私は残る
 
 流れる水の様に恋もまた死んでゆく
 恋もまた死んでゆく
 生命ばかりが長く
 希望ばかりが大きい
 日が暮れて 鐘が鳴り
 月日は流れ 私は残る
 
 日が去り 月が行き
 過ぎた昔の恋は
 再びは帰らない
 ミラボー橋の下を セーヌ河が流れる
 日が暮れて 鐘が鳴り
 月日は流れ 私は残る

 夢二さん、投稿


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


  「春の朝」

   ロバート・ブラウニング

  時は春、
  日は朝(あした)、
  朝は七時、
  片岡に露みちて、
  揚雲雀なのりいで、
  蝸牛、枝に這ひ、
  神、そらに知ろしめす。
  すべて世は事も無し。

 ☆ 春の朝(あした) /

 The year's at the spring,
 And day's at the morn;
 Morninge's at seven;
 The hill-side's dew-perled;
 The lark's on the wing;
 The snail's on the thorn;
 God's in his heaven
 All's right with the world.

 蝸牛というのはカタツムリのこと。
 棘の生えた枝を這っていきます。 March_Hare

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−